リスティング広告の実践的なアカウント構造とは?【キャンペーン・広告グループ編】
リスティング広告の運用で重要なことの一つに「アカウント構造」があります。本記事では、アカウント構造の中で、キャンペーンと広告グループ構造の作り方について詳しく解説します。これから始める初心者の方はもちろん、すでにインハウスで運用されていても、キャンペーンと広告グループの違いをよく理解していない方も、この記事で理解を深めてください。
リスティング広告の仕組みや全体的な流れについての別記事がありますので、まだの方は先にそちらをお読みいただき、その後に本記事を読んでください。
目次
リスティング広告のアカウント構造
最初に、リスティング広告のアカウント構造を見てください。この構造はGoogle広告もYahoo!広告もまったく同じです。全体構造をよく理解しないと、キャンペーンと広告グループを作ることはできません。
リスティング広告は最初にアカウントを作ります。その下にキャンペーンを作り、その下に広告グループを作り3つの階層構造になります。アカウント構造はなるべくシンプルにするため、リンク先のホームページが1つであれば、キャンペーンは1つ、広告グループも1つでかまいません。次に、広告グループの下に複数の広告とキーワードを作ります。広告とキーワードは必ず紐づいています。
キャンペーンの作成
1つのアカウントの下に複数のキャンペーンを作成することができます。キャンペーンでは1日の広告予算、配信スケジュール、配信地域、配信ターゲットなどの設定をすることができます。一般的には商品やサービスごとにキャンペーンを作成します。家電販売店をモデルケースとします。
アカウント名「YOKOHAMA電気」の下に、「パソコン販売キャンペーン」と「テレビ販売キャンペーン」の2つのキャンペーンを作りました。
キャンペーンの設定項目
キャンペーンの設定はGoogle広告とYahoo!広告では設定内容が違います。
Google広告
- キャンペーン目標
- キャンペーンタイプ
- キャンペーン名
- キャンペーン予算(日額)
- 単価設定(入札単価)
- 広告のローテーション
- ネットワーク(検索・ディスプレイ)
- 配信地域
- オーディエンスセグメント
Yahoo!広告
- キャンペーンタイプ
- キャンペーン名
- スケジュール設定
- キャンペーン予算(日額)
- 入札方法
- 配信(デバイス、地域、曜日時間帯)
- 広告掲載方式の指定
- 対象外キーワード
- URLオプション
広告グループの作成
広告グループは、キャンペーンの下に複数作成することができます。なるべく類似したターゲットごとにまとめます。広告グループは広告とキーワードをまとめるものです。
モデルケースとしてパソコンにはノートパソコンとデスクトップパソコン、テレビには液晶テレビと有機ELテレビの広告グループを作りました。
広告グループの設定項目
広告グループの設定もGoogle広告とYahoo!広告では設定内容が違います。
Google広告
- 広告グループ名
- 広告グループ入札単価
- 広告のローテーション
- 対象外キーワード
- URLオプション
Yahoo!広告
- 広告グループ名
- 広告グループ入札単価
- 入札単価調整率
- 広告表示の最適化
- 対象外キーワード
キャンペーンの分け方のコツ
商品・サービスが2種類ある場合は、1つのキャンペーンに2つの広告グループを作成すればいいのです。例えばモデルケースのように、パソコンにはノートパソコンとデスクトップパソコン、テレビには液晶テレビと有機ELテレビの広告グループを作りました。だだし次のような場合は問題が起こります。
- 配信地域が違う場合
- 広告予算を別々にしたい場合
- 広告予算を1本化する場合
【1】配信地域が違う場合
例えば、ノートパソコンの広告は横浜市内だけに配信して、デスクトップパソコンは神奈川県内に配信したい場合に問題が起こります。地域ターゲティングはキャンペーン単位にしか設定できないため、地域ターゲティングを分けたいときは下図のようにキャンペーンを分けなくてはいけません。
【2】広告予算を別々にしたい場合
ノートパソコンに1日5,000円、デスクトップパソコンにも1日5,000円の広告予算を与えたい場合も、キャンペーンに分ける必要があります。広告予算もキャンペーン単位にしか設定できないためです。
キャンペーンを分けず、パソコン全体で1日10,000円にすると、配信結果はノートパソコンが8,000円でデスクトップパソコンが2,000円となってしまうこともあります。
ただ、それぞれに5,000円ずつにした場合に起こる問題として、ノートパソコンは5,000円を使い切って足りず、逆にデスクトップパソコンは2,000円しか消化できず3,000円余ってしまうことにもあります。そうなると1日の売上もダウンしてしまいます。こうした場合は、キャンペーン間の予算を共有する方法もあります。
【3】広告予算を1本化する場合
事業規模が小さく、パソコンとテレビを分けず広告予算を1本化する場合は、以下の図のような構成になります。
この図では、キャンペーンは1つで、その下にパソコンとテレビの広告グループがあります。1つの予算で配信地域、曜日・時間帯も同じでよければこうなります。この場合でも、パソコンとテレビはターゲットユーザー属性も、リンク先URLも違いますので、広告グループは必ず分けてください。
広告グループを分ける理由
広告グループを適切に分けて、ユーザーのニーズと広告がうまくマッチすると「広告の品質」が高まります。広告の品質とは広告の掲載順位を決めるために使用される値です。広告の品質が高まると、広告の掲載順位が上がり、広告が表示されやすくなります。そのために広告グループを適切に分けるのです。
広告グループの分け方のコツ
- リンク先URLごとに広告グループを分ける
- キーワード群が同じなら、広告グループは1つにまとめる
- 広告文が同じなら、広告グループは1つにまとめる
- 1つのキャンペーンに多くの広告グループを作らない
【1】リンク先URLごとに広告グループを分ける
リンク先のWebサイトの内容と一致した広告文を設定すれば、コンバージョンを高められます。広告グループは同じターゲットのキーワード・広告文をまとめたものです。ですので広告グループとリンク先はセットで考えないと整合性が取れません。例えば、パソコンのキーワード・広告文をクリックしたら、テレビのサイトが表示されたらダメですよね。
【2】キーワード群が同じなら、広告グループは1つにまとめる
同じキーワード群を持つ広告グループが複数ある場合はそれぞれが掲載候補になりますが、1回の検索に対して、1アカウントからは1つの広告しか掲載されません。そうなると広告の掲載機会が分散され広告の品質がダウンしてしまいます。同じキーワード群は広告グループを1つにまとめることで、広告の品質は向上します。
【3】広告文が同じなら、広告グループは1つにまとめる
同じ広告文を持つ広告グループが複数ある場合も、同じく広告の品質がダウンしてしまいます。同じ広告文は広告グループを1つにまとめることで、広告の品質は向上します。
【4】1つのキャンペーンに多くの広告グループを作らない
1つのキャンペーンに、多くの広告グループを登録してしまうと検索数が多いキーワードと少ないキーワードの差が大きくなってしまいます。広告グループを分けすぎた場合は、キャンペーンを追加して広告グループを分類しましょう。日予算はキャンペーンごとに設定できます。1つのキャンペーンに広告グループが少なくなれば予算の差が少なくなり、なるべく均等に広告が表示されます。
まとめ
いかがでしたでしょうか、本記事ではリスティング広告のアカウント構造から、キャンペーンと広告グループの実践的な作り方についてモデルケースを作り、図を使って詳しく解説しました。アカウント構造を理解できず、今までなんとなくキャンペーンと広告グループを作って運用されてきた方もいるのではないでしょうか?
アカウント構造は、販売している商品・サービスの違いや事業規模、広告予算の違いなど様々な要因で変わるものです。適切な設計をしないと広告の品質が下がり、無駄な広告費を生んでしまうこともあります。すでに運用されている方は、もう一度見直してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。